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「USPマーケティングとは?」で少しだけ触れましたが、「USPマーケティングがなぜ売上を上げられるのか?」について詳しく説明したいと思います。「理屈はいい。」という方は特に読んでいただく必要性はありません。
■印象づけても買わせねばダメ
USPマーケティングが売上を上げる秘密を理解するためには、まず、市場に「浸透率と牽引率」という力学が存在することを理解する必要があります。
USPの考えをまとめたリーブスは、「印象づけても買わせねばダメ」と言いました。リーブスによれば、(1970年代の古い調査ではありますが、)広告には、「浸透率」と「牽引率」なる力学が存在します。
「浸透率」とは、お客様の頭に残っているかどうかの数値です。つまり、どれだけ印象付けたかが浸透率ということになります。
ここで、御社の製品・サービスが市場においてどれくらい浸透しているか、ライバルがどれくらいの浸透率を誇っているかを考える必要があります。例えば御社が取り扱っている商品Aの市場全体が1,000人だったとします。商品Aの浸透率が50%、競合商品Bは15%、競合商品Cは25%、競合商品は10%だとした場合、市場において御社の商品Aが500人のお客様の頭に印象付けているということになります。当然ながら、この浸透率が高ければ高いに越したことはありません。売上を上げるためには、浸透率の高さが大前提となります。
それに対して、お客様を商品へどれだけ引き寄せ、買ってもらうかが「牽引率」となります。たとえ「浸透率」100%だったとしても「牽引率」が0だったら意味がありません。全体が1,000人の市場で、商品Aの「浸透率」が50%だとすると、購入する可能性の対象人数が500人でしたよね。「牽引率」が10%だと50人が商品Aを購入するということになるのです。
これも当たり前ですが、高いに越したことはありません。ただし、浸透させた人数を超えることは絶対にありません。つまり、売上を上げるためには、浸透率、牽引率それぞれを高める必要性があるのです。先ほどの商品Aにおける市場でそれぞれの牽引率が下記のとおりだとすると、商品Aは一番印象付けているけれど、結果的に一番売っているのは牽引率が最も高い競合商品Cということになるのです。
商品A・・・1,000個x浸透率50%x牽引率10%=販売数50個
競合商品B・・・1,000個x浸透率15%x牽引率30%=販売数45個
競合商品C・・・1,000個x浸透率25%x牽引率50%=販売数125個
競合商品D・・・1,000個x浸透率10%x牽引率10%=販売数10個
商品Aと競合商品Cの販売数の差は、75個
このような浸透率、牽引率を精緻にリサーチするためには、予算が必要で大企業しか行えませんが、このような力学があるということを知っておくことが大変重要です。
■両方ダメのプロモーションも結構ある。
浸透率、牽引率共に引き上げなければダメなのですが、世にあるプロモーションの多くは、残念ながらそれが出来ていません。
およそ浸透率と牽引率の関係性をまとめると次の3つのパターンとなります。
1.印象付けもダメな広告
2.印象付けは出来ているが購入につながらない広告
3.印象付けも出来て、購入させる広告
どんな広告プロモーションでも原理原則は一緒です。CMはその影響力が大きい媒体ですが、規模は異なっても地域におけるチラシやホームページでも理屈は同じなのです。ここでは、わかりやすいようにTVCMを例にとって説明してみましょう。
1.は問題外です。広告コストを垂れ流ししているだけの広告ですが、実際に多いのがこれです。消費者が一日で浴びる広告は数万を越えると言われています。この中から印象付けをさせなければならないのです。しかし、買わせることはおろか印象付けさえもできていないCMは結構存在しています。
思い出してみてください。印象づいたCMと、全く覚えていないCM・・・。まったく覚えていないCMが大半なのです。
2.の典型的なパターンは、商品と広告の印象が関連付いていないものです。極端な例をいいます。裸の男性が屋根の上で騒いでいるCMを見たとします。印象には残るでしょう。「あ~、あの宣伝知ってる。」となり、浸透率はそこそこ上がりますが牽引性はありません。これに近いCMを行っているところは結構あります。例えば、銀行の宣伝でキレイな女の方が歩いて、最後に○○銀行という類です。この場合、大して浸透率も上げることができませんが、さらに牽引率となると皆無です。銀行の場合、預金させるか?貸し付けさせるなど牽引することにつながらなければならないのです。
3.を目指すべきなのです。印象深くそのCMを見てお店で購入する動機になる。そんなCMを打たなければなりません。このようなCMの例については、後述します。
■ライバルの浸透率は奪われる!?

リーブスが言うもう一つのおもしろい力学があります。前述したとおり、「商品A」の浸透率が50%、「競合商品B」が15%、「競合商品C」が25%、「競合商品D」が10%という市場があります。
そこで、商品Aが優れた広告プロモーションを展開することによって、「商品A」の浸透率を15%アップに成功したとすれば、商品Aの浸透率が65%になります。
しかし、市場全体が増えるということはありません。つまり、「競合商品B」が10%、「競合商品C」が20%、「競合商品D」が5%というように競合商品の浸透率が減るのです。『浸透率の高い広告でプロモーションを行えば、マーケティング上でライバルよりも相当優位になる。』という力学が働くのです。言い換えれば、相手にそれをやられると窮地に追い込まれることにもなります。
これを先ほどの計算式にあてはまるとわかりますね。先ほどは、競合商品Cに大幅に水を空けられていたのが肉薄しははじめるのです。
商品A・・・1,000個x浸透率65%x牽引率10%=販売数65個
競合商品B・・・1,000個x浸透率10%x牽引率30%=販売数30個
競合商品C・・・1,000個x浸透率20%x牽引率50%=販売数100個
競合商品D・・・1,000個x浸透率5%x牽引率10%=販売数5個
商品Aと競合商品Cの販売数の差は、35個
■浸透率と牽引率を圧倒的に上げるUSP
この「浸透率」、「牽引率」共に引上げる方法論がUSP作りです。加藤がマーケティングの軸にしているものです。実際にリーブスが行ったUSPで「浸透率、牽引率」を圧倒的に引上げたCMの事例を一つ紹介しましょう。
「お口でとけて手にとけない。」
という宣伝コピーを覚えていらっしゃるでしょうか?
そう、M&M’Sチョコレートの宣伝です。この宣伝が日本で流れたのは結構昔ですが、それにも関わらずこのメッセージを覚えている方も多いでしょう。
10年以上経つ今でも覚えている人が多いという、この記憶こそが浸透率を証明していると言えるでしょう。当時、コーティングしてあるチョコレート(独自性)を手で溶けないという(お客様のメリット)と組み合わせたこのコピーは斬新であり、棚にある数多くのチョコレートの中から手に取った理由としてこのコピーは優れていたのでしょう。
まさに浸透率と牽引率に優れたUSPだったということなのです。このキャンペーンを手掛けたのがリーブスです。これをきっかけに、M&M’Sチョコレートは世界市場を席巻していったのかもしれません。
このように先ほどの市場で、商品AがナイスなUSPを策定し、プロモーションをうまく展開して浸透率は、先ほどのまま65%を維持し牽引率を40%までアップさせることに成功したとしましょう。
商品A・・・1,000個x浸透率65%x牽引率40%=販売数260個
競合商品B・・・1,000個x浸透率10%x牽引率30%=販売数30個
競合商品C・・・1,000個x浸透率20%x牽引率50%=販売数100個
競合商品D・・・1,000個x浸透率5%x牽引率10%=販売数5個
商品Aと競合商品Cの販売数の差は逆転する。160個多く売れることになる。
※理解しやすくするための計算式であり、実際の計算式ではありません。
■リーブスの時代よりも難しいUSP作り
リーブスが活躍したのは1970年前後ですが、その頃に比べると明らかにUSP作りが難しくなっています。なぜならこの半世紀程の間に、恐ろしい程大量の商品が開発され、氾濫しているからです。このような背景がある故に、商品の基本的な性能での差異はほとんどないと言われています。ですから「ユニークで売り込みの効く主張」という穴が中々見つからず、広告代理店などもその手法をあきらめてしまっている風潮があります。
その結果、現在のプロモーションのほとんどは、商品のユニークさというよりは、タレントを使うなどその商品が持っているユニークさというよりは、その他の主張しているのが現状なのです。試しに世の中に出ている広告のほとんどを見てみればわかるかと思います。
では、USPは主張できないのか?といえば、そんなことはありません。むしろ基本に立ち返り、「USPマーケティングとは?」の項でも触れた様に必ず「独自性」と「お客様メリット」が「結婚」できる領域があるはずです。そこを「ユニークで売り込みの効く主張」にしていくことは、現実として可能であり、加藤は何百を超えるUSP作りを実践し成功するお手伝いをしているのです。繰り返します。穴は必ずあるのです。
しかも、このような考え方でプロモーションを行っている企業がほとんどいませんから、逆に今がチャンスだと言えるでしょう。
■USPマーケティングの成功事例
それでは、USPを策定し実際にあらゆるプロモーションにUSPを組み込み、浸透率、牽引率を圧倒的に引上げた成功事例の一部を紹介したいと思います。
成功事例その1.カーパーツメーカー
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「USPメッセージ」=その違い、一目瞭然!
~純正バンパーとほぼ同サイズにも関わらず一変した存在感。~
「雑誌広告」、「カタログ」、「ウェブ」、「大型店舗向けプレゼンツール」、「店頭販促ツール」などあらゆるマーケティングツールにて、高級ブランドに多く見られるイメージ型の訴求が多かった。語らず見てくれとういうスタイルから「独自の売り」を言語化する体制にシフト。一つの「売り」に対するメッセージに選択と集中させ、すべてのツールに訴えるように展開。全ラインアップに対して製品企画時より「USP」を検討するようになる。セールスパーソンのプレゼン効率化も実現。大手ディーラーがオプションに「USPメッセージを採用したい」などの流通開拓やコラボレーションにも貢献。ヒット製品連発中でV字回復。
成功事例その2.マッサージ店
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「USPメッセージ」=90%ツボ押し
~手もみが少ないから肩こり・腰痛に効く~
ある地域のマッサージ施術店。以前のマーケティングのコミュニケーション手段は、のれんにロゴマークをつけていた程度。似たような施術店と差別化できていなかった。
USPを掘り下げていったところ、他の施術店では施術者の負担が大きいのであまりやりたがらないツボ押し型の施術が中心とのこと。消費者はわかっていない「手もみ」型施術と「ツボ押し」型施術の違いを顕在化。「ポスティングチラシ」、「ウェブ」、「看板」、「のぼり」などあらゆるマーケティングツールに展開。3店舗目オープンで即、行列のできるお店となっている。その数ヵ月後、大型FC店よりオファーがあり4店舗目オープン。わずか数ヶ月で同地域No.1チェーン店となる。
この2つの事例は、ごく一部です。そして詳しい業界の背景などを説明しなければ、結果論だけ見ても中々理解できないのが、USPマーケティングを説明する難点です。しかし、従来のプロモーション手法からすると、いずれも短期間で圧倒的に浸透率、牽引率を高めることに成功した事例なのです。これまで説明したとおり、その行いによって市場において、短期間で、しかも圧倒的な差別化に成功しています。その結果、売上を上げることに成功しているのです。
このようにUSPマーケティングは、業種・規模を問わず活用でき、圧倒的な売上を上げることができるのです。
※USPマーケティングの詳細については、2008年10月に発売予定の加藤執筆の本にて記載されております。
■USPマーケティングを取り組んでみたいとお感じの方へ
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